それは導かれし愚か者たちの伝説……宇宙食。

懐かしくて過去の日記から抜粋してみました。
読み辛い書き方でしたので、
当時のファイルを添削してあります。



1999-11/08 月曜日

(中略)

皆さんは自分で料理ってしますか?

私は独り暮らし四年になりますが、
実のところ三年以上も実家に頼って、
自炊らしきものはした事はありませんでした。

ちょっとしたことから“完全な独り暮らし”を始める事になり、
実家に帰る回数も減って来たわけです。
それから、かれこれ半年になります。

本日は御飯あり、おかずなし、お金なし。
実家に帰ってもいいのですが、
つまらない意地から工面する事に決定しました。

■素材リスト

・御飯
・トマトジュース
・イカの塩辛
・味噌
・調味料各種

いかにも貧弱な品揃えなのは給料日前だから。

「……チャーハンにしよう」

お約束と云うべきか、とにかく神託が降りました。
まずはフライパンに油をひき、白米をブチまける。
ここまでは多分、至って普通。
(後になってから知りましたが、これは普通ではありません)

しかしその時の私は、恐らく己を見失っていたのでしょう。

「具になりそうなもの……塩辛」

何を思ったか、塩辛を水で洗い、ぬめりを取りました。
(この辺りは中途半端に知識があるようです)

塩辛を入れ、イカ臭い香りの中、何も考えずに掻き回します。
ケチャップ代わりのトマトジュースもかけちゃったりします。
それからコショウ。

キッチンに充満する、酸味を帯びた得体の知れない悪臭。
味見してみました。
薄い。

ここで放棄してしまえばいいのに、
悲しくも更なる神託が降りました。

「…味噌だな」

見てくれ(外見)を文章で表現するのなら―――

赤みの差した御飯に、
極太ウジ虫(イカの塩辛)が所狭しとうごめく様。


―――です。

殺人的発想、殺人的悪臭、殺人的外観。
匂いで頭痛がして来ました。

嗅覚が麻痺してしまって、
味もへったくれも有ったものじゃないったらありゃしません。
無駄に食材を浪費しただけで、処分しました。

その後、結局私の空腹を満たしてくれたのは、
レンジでチンしてマヨネーズをかけたジャガイモでした。

独り暮らしが辛くなって来ました。