-幻獣イラスト大辞典-


B5版

B6版
■発行:宝島社(別冊宝島)
カラー5点を担当しています。
2008年8月から10月にかけての作業です。
(その他の情報は、Amazonを御覧下さい)

B6廉価版は、B5版の半寸イラスト(十数点)が収録されていません。

■サンプルはトリミング画像1点のみです。

この仕事での最大の特徴は、資料がないことでした。
スタンダードなイメージで描くことだけが指定で、
云い換えれば自由に発想を巡らせることができ、
その意味では作家の意思が尊重されていると思います。

イラスト自体は本書を御覧頂くとして、
このページは、各作品の所感(と云うより反省)です。
諸般の都合で、ラフは公開しておりません。

初めて読んだ別冊宝島シリーズは二桁でした。
四桁目(1571)に自分の名前が載るとは。
それを考えると感慨深いものがあります。

■リヴァイアサン……★サンプル
ここしばらくで3回目のリヴァイアサンとなりました。
別件が詰まっていて非常に忙しく、ラフの提出から遅れており、
「とにかく早く提出して見通しを立てなくては」と、大急ぎで描いた結果、
大半がラフにしがみつく出来になったことは、反省しきりです。

本番にあたって大きくラフと異なる構図に変えることは出来ないので、
出来るだけ細部にこだわり、何度も色を調整した憶えがあります。
もっと奇抜にしても良い気がしますが、「スタンダードなイメージ」ですので、
自分でも納得するしかないかな、と考えています。

■ユニコーン
やはり馬を描くのは難しい、と思い知った一枚です。
角が生えていること以外は普通の馬と変わらないので、
どこに変化をつけるかが問題になりますが、画稿仕様も縦長です。
あまり激しい動きを描く案が通りにくくなりました。

そのため、ペガサスのように翼が生えていない(飛べない)こともあり、
背景は陸上……ということになったのですが、植物の種類がバラバラで、
いまいちどんな環境に居るのか分からないものになりました。
ちなみに、この背景は線画を使っていません。

■ハーピー
先述の通り、この仕事では提供資料がなかったので、
「(普通の)ハーピーのイメージ」が、一体どんなものなのか、
単に「鳥の翼と脚のほかは人間」という要素でまとめて良いものか、
まずそこから入る必要があり、一番まとめにくい作品になりました。

ハーピーは不潔な怪物で、狡猾で意地悪な一面もあります。
そう云った要素を、見た目に加味するかどうかでも変わるので、
どっちつかずに描く内に、顔も男なのか女なのか分からなくなりました。
ちなみに、これは最後に描いています。

(※B6廉価版には収録されていません)
■ゴブリン
本になった状態を見て、意外に大きく感じた作品です。
これは一枚目に描いたもので、雰囲気的にもTCG寄りな感じがします。

ゴブリンほど資料によって外見がコロコロ変わるモンスターも珍しく、
モンスターとしてより、“人種”のような捕らえ方が一般的な気もするので、
表情などの印象で固めるのが良いと考え、その方向でまとめました。
なので、あまり恐くしていません。

もっと装具に凝りたかったです。

■リッチ
「リッチと死神って同じ?」と、お感じの方もいらっしゃるかと存じます。
死神とは違いますが、私も似たようなものだと思っていました。

5点の中で、最も陰惨なイメージで「描いてよい」作品になるはずでしたが、
リッチは死神でなく魔法使いなので、描き込む内容も異なります。
霊魂や屍はネクロマンサーですし、派手な魔法効果も雰囲気でない。
結果、予定よりも地味な作品になっています。

この背景も線画がありません。
なんだか硯(すずり)みたいな壁面になりました。


以上、5点でした。

[Back]