-Wrath-

我は死を超越せり。
死の裁きに抗い、死の床の上に甦り、死に続く道を塞ぎて立つ者。

我は暗闇の王座に居する者。
暗闇に眼を開き、暗闇の床に立ち、遍く闇を統べし者。

我を称えよ!
我に拝し、我を奉り、我を慰み、我を愛み、我を崇めよ!
我と我が名と、我が眷属と共に来たりて、
我が開きし暗き土の上、此に服わぬ者を滅ぼせ!

罪に塗れし者共、神に謀られし者共、
その腕に血を伝い落とす者共、此れらの者は我に続け!

我に賢しらを述べ、我に矛を持ち、我に弓を引く者、
我を忌み、我を改め、我が行く道を塞ぎて泥ます者、
我は此れを許さず、此れに万の槍と斧を持ち、
腐れる海に沈めて引導を渡そう!

そうだ、天地の間に座する者は知るがよい!
耳ある数多の者は聞くがよい!

我は王なり!
我こそは征服者!

我が名はサタン!

Satan-1
- the dark one -
サタン

■2006-05/13作品
■[1600*1200]
■[1024*768]
■[No effect]
■[線画]

七つの大罪の内、「憤怒(ふんど・ふんぬ)」を司る魔王サタン。

私の中の「どのサタンを描くか」で悩みました。
聖書や伝承のデザインは、あまり重要視していません。
この作品で重きを置いたのは、顔と手です。
それらの要素から醜い蝶のイメージで進んでみました。

人間が奇異を感じるものには、
「ないはずの物が有る」と、「有るはずの物がない」の2種類があります。
この作品では後者を採用して眼を描いていません。

人が虚無の暗闇で何が出来るかを考えてみて下さい。
その暗闇では、何も見ることが出来ません。
せいぜい助けを呼ぶために、虚しく大声を上げることくらいです。

そうした点から、この作品では顔を形成する要素のいくつかを除きました。
“地獄の闇に両眼を縫い閉じられた怒れる者”です。

腕は全部で七対を描きました。
腕の角度を後ろの魔方陣の直線に対応させた上で、
それぞれの両手で対応する罪の受け皿としています。

七つの面をもって七つの罪を見据え、
七対の腕をもって七つの罪を掬い上げ、
七対の手をもって、魂と肉体とに引き離す。
暗闇の世界における、彼による赦し、悪の救済。

私の中のサタンのひとつは、こんな感じです。

-*-*-*-
七つの大罪を、七柱の悪魔によって完成させました。
分類は、1589年デーモン学者ピーター・ビンスフェルトによります。

表面上の「七つの大罪」は、とりあえずこれで終了です。
ほかの悪魔のリメイクや、サタンの別デザインは改めて描こうと思います。
解題も折を見て付加するつもりです。

一連の作品更新を、最初の作品から一枚ずつ見てこられた方、お疲れ様でした。
「アモン(2000年)」は途中から変わりましたが、なんと六年近くかかっているのですね。

■聴いていた音楽
・キャシャーンOST…神意、軌道

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