-知っておきたい 女神・天女・鬼女-

■発行:西東社
本編でモノクロカット9点を担当しています。
2008年2月の作業です。

■画稿仕様は今回も同様です。
もともと2007年内の作業であるはずでしたが、
先方の事情で凍結状態となったものが年をまたいで再開し、
もう一冊の伝説の武器・防具・刀剣と同時進行でした。
それにより担当枚数は当初の半分以下になっています。

厳しい日程の中でインフルエンザに罹患し、
自転車での転倒による松葉杖生活が重なり、
前例になく最悪な状態での仕事でした。

しかし仕事で女性画を描くことは少ないので、
1本の線に対する執着も強くなり、それが楽しかったです。

数点を公開致します。
それ以外は本書を御覧下さい。

なお、"瞳"を描かないのは仕様です。

■ニンフ ラフ
ラフ段階で注文が加わり、足元の水しぶきを描き足しています。
当時は何も考えていませんでしたが、全裸ですね。
足を描き直さないまま仕上げてしまいました。
これではちゃんと立てません。

■テティス 本画/ラフ
当初、「(七片が)女性を描くと、こんな感じ」というサンプルラフに使われたもので、
本書用のイラストとしては使われるはずのなかった一枚です。
テーマを設けず描いたので、そのまま流用しました。
要するに楽をしています。

■ナウシカア 本画/ラフ
私は女性を描く時に一輪挿し(花瓶)を意識して描くのですが、
この作品には、それが色濃く出ているような気がします。
でもラフのほうが良いような気もします。
それにしても後ろ髪が酷いです。
■ガンガー ラフ
「ニルヴァーナ」という伊・仏映画ではホテルの名前になっています。
最初のラフでは資料通り鰐(ワニ)にまたがっていましたが、
提出後に変更され下半身あたりから描き直しています。
この仕事ではよくあることです。

■サラスヴァティ ラフ
これも上記と同じようなケースで当初は腕が一対でした。
手にしたヴィーナ(楽器)は様々な形があり、これは床においても使えます。
弦の数はともかくフレットの数が正確かどうかまでは憶えていません。
どうせなら、そういう資料があると良かったですね。

■ボアン 本画/ラフ
最もやりづらかった一枚です。
テーマ的に掴みにくかったせいかも知れません。
描くのは楽でしたが、影が落ちるところまで印刷され、
その部分が白紙ではなかったので変な絵になりました。

■宗像三女神(むなかた-さんじょしん) 本画/ラフ
本文中では神鴉については少し触れられているだけです。
三姉妹の差を表現したかったのですが、腕が悪い証拠でした。
なお、上から長女・次女・三女として描いています。
長女だけ腹違いみたいな感じがします。

■湘夫人(しょうふじん) ラフ
母に気に入られた絵です。
装飾を描くのが下手ですから、できるだけ頑張ってみました。
中国美女って日本とは違う感じの良さがあるのでしょうが、
私の腕では追いついません。

■媽祖(まそ) 本画/ラフ
厳つい顔は描いていて楽しいです。
本画の段階で、後ろの2神のポーズが変更されました。
この「千里眼(左)」と「順風耳(右)」は、ちょっとお気に入りです。
本書中では見づらいですが、順風耳が耳をすましています。


以上、9点でした。

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