-知っておきたい 伝説の武器・防具・刀剣-

■発行:西東社
本編でモノクロ20点を担当しています。
2008年3月から4月にかけての作業です。

■画稿仕様は今回も同様です。

もう一冊から生じたスケジュールのズレが著しくなり、
不足分の資料を補填するのも大変でした。
武器のみのイラストだと思っていたら、人物も込みなので、
「ページ右側のイラスト」という仕様には制限も多かったです。

縦長の画稿では、刀剣が描画範囲を飛び出たりしますし、
角度によっては「見れない」代物もあります。

このため、仕方なく(伝承に関係なく)左利きにしたり、
やや無理のある姿勢、無理のある持ち方をさせたり、
刀剣そのものを短く描いています。
それらへの対策から、あまり描き込めずにいました。

なお、デザイン等は提供資料と注文によって異なります。
「○○と違う」などの意見は御遠慮下さい。
また、普段は上から順番に作業して行くのですが、
今回はバラバラなので、慣れの変遷も分かりづらいです。

今回はラフと完成品を合成して、数点を公開致します。
乱暴なが多いので、ラフのみの公開は致しません。
詳しくは本書を御覧下さい。

※……以下は「武器名 / 使用者等」という表記です。
■エクスカリバー / アーサー王
後期に描いた一枚目です。
盾はトンボの外に行く(除外される)はずで、描き込まずにいたら、
なぜか入っていたので、初っ端から恥ずかしい一枚になりました。

■デュランダル / ローラン 完成品+ラフ
ラフとは異なり、右足が手前になっています。
逆の左足を修正するつもりが、忘れたまま提出してしまいました。
このサイトと本書の両方を呼んだ方は、早く忘れて下さい。

■ロンギヌスの槍 / ロンギヌス
「刺されている絵」は、描いていて気分のいいものではないですね。
これについては色々と調べたり、また、問題も生じかけたのですが、
長くなるので省略します。

■トライデント / ポセイドン
岩のようにゴツゴツした筋肉を目指してみました。
こんな老人が近所に居たら、良きゲンコツオヤジになってくれそう。
正しい指導をしてくれる老人なら、ちょっとくらい乱暴なほうが良いです。

■金の矢・銀の矢 / アポロンとアルテミス 完成品+ラフ
当初、人物については詳しく知らされていなかったので、
ラフでは、それぞれの弓矢を(無関係な)男性が持っています。
最も時間がかかった一枚でもあります。

■グラム / ジークフリート
後述の「ジョワイユーズ」と同様に、装飾に凝りたかった一枚です。
時間の割にきっちり描けた気がします。
こんな剣の持ち方はしませんが、絵的に仕方ありませんでした。

■フルンティング / ベオウルフ 完成品+ラフ
腰のプレート列が大変でした。
騎士が剣を携えて祈りを捧げる時、この持ち方はおかしいのですが、
イラストとして剣が見えなくてはならないので、仕方ない選択です。

■ジョワイユーズ / カール大帝
衣装の装飾に凝る予定は、時間切れでした。
私が描く老人は、なんとなく病弱そうに見えます。
この作品に限っては、首回りのファーのせいでしょうか。

■オートクレール / オリヴェ
本書の全体に云えることですが、今回は時間的な余裕がなかったため、
鎧を着た状態での厚みや重量感などの計算が軽んじられています。
この作品は手が小さくて不自然です。

■アロンダイト / ランスロット
後述しますが、ラフは当初「アキレウスの鎧」に使われたものです。
もともとの右利き画は、編集の都合で左右反転されました。
たまにこう云うことがあります。
■ガラティン / ガウェイン 完成品+ラフ
これが最後に描いた一枚でした。
豪傑ですから、もっと派手で大きな剣を描きたかったです。
ポーズ的には「よく出来たかな?」と思えた作品です。

■ハルパー / ペルセウス
「金の矢・銀の矢」と同様、ラフではこんな絵ではありませんでした。
本番を描くにあたり、急きょ描き直した一枚です。
メドゥーサの首を描かなかったのは、後に「イージスの盾」が続くためです。

■雷霆(らいてい) / ゼウス
もともとは雷ですが、それがシンボル化されたものなのでしょう。
色々な神話や伝承を呼んでいると、神様もけっこう乱暴ですよね。
痴話喧嘩で誰かが死んだりとか……。

■イージスの盾 / アテネ
あまり描き込みたくなかったので、軽めにしました。
メドゥーサの首も、「生々しくないように」と注文が入っています。
生々しくないメドゥーサって面白くないなぁ。

■アイアスの盾 / アイアス 完成品+ラフ
これを描くにあたって海外の刀剣サイトなども見たところ、
意外にも皮の盾が綺麗で、かなり驚きでした。
もっと泥臭い色合いを想像していたのです。

■アキレウスの鎧
指定を読み違えたままラフを描いてしまったため、
この作品のラフには、もともと後述の「アロンダイト」が宛がわれていました。
その後、新たに描き直しています。

■ケリュケイオン / ヘルメス 完成品+ラフ
アヌビスでいうところの「カドゥケウス(ラテン語読み)」ですが、
引用資料の一つに、私が描いたカドゥケウスが入っていました。
先方は私の作品だと知らなかったようですが、友人が呆れていました。

■アポロンの竪琴 / アポロン 完成品+ラフ
提供資料ではリラ(琴)の弦の数が不明で、完成した本書には9本と記されています。
しかし7本という説もあるようで、当時はそちらを採用しました。
重要なことですし、ちゃんと伝えて欲しかったなぁ。

■聖杯(せいはい)
色々な形があるそうで、折衷案っぽく描きました。
この作品みたいに、道具だけのイラストだと楽だったのですが……。
そうは烏賊のゴニョゴニョらしいです。

■賢者の石(けんじゃのいし)
ラフでは黒曜石みたいな感じでしたので、描き味を変えました。
装飾が入っていないのは、そう云う注文だからです。
云うまでもなく最も楽な作品でした。

以上、20点でした。

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