■制空者 「ヴァルカン」(Vulcan)
  学名:ディオナ・マキシオン
  Dionue al maxion

全長5000mを超える一科・一属・一種の白色個体。
一生の七割以上を空中で過ごし、陸上での発見例は皆無である。
二対の大きな翼、頭部には垂れ下がった頬に似た外皮を有する。

呼吸は口腔と頭部前面の鼻腔から吸気し、後翼の付け根から排気、
巨大な肺に空気を摂り込み、後方噴射することで高い推進力を得る。
類似種には「パサナ・タイラス(Pusonue al tylus)」等の大型種もあるが、
このような複翼型は、本種に限られた独特な体型である。
加えて後頭部の連続突起は、白色個体のみに見られる。

繁殖については全くの不明。
大型海水魚や、稀に近縁種の海龍などを捕食するとされ、
狩りの際だけ水面上に下降し、捕獲が済むと上空へと姿を消す。
休息や睡眠は海上に浮かぶとも、高山地帯に横たわるとも云われるが、
いずれも憶測の域を脱せず、活動時間が長いために確認も困難である。

本種はその巨大な声帯から放射される破砕音波「ヴァイネン」を有する。
効果領域は未知数で、空中艦隊などを容易く撃沈可能な威力を持つ。
彼等に対して制空権を主張するのは無意味であろう。

性質は怪物然とした顔つきに反し、とても大人しい。
都市や大きな町に巨大な影を落すことがあるものの、それだけである。
高度は空中艦隊のそれを若干上回るため、空中での発見例も少ないが、
最も新しい発見例は、飛行戦艦に横付けされた報告である。

この際、本種の羽ばたく気流に巻き込まれ、機体は大きな損傷を受けた。
砲門による五発の威嚇射撃を行い、誤って一発が胴体に命中したが、
強固な外皮装甲は傷ひとつ負わず、焦げ跡を残したのみだったとされる。
本種は食後であったのか、煙たがるように悠然と飛び去ったと云う。
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