|
|
旧人類 |
後述の「フェイ」が絶滅させたとする人類。
強度の波動に耐えることも、波動を感知することも出来ず、
「回る命の柱」に触れた粛清として抹殺されたとされる。
その全てが滅びたと思われたが、辛くもこれを逃れた者たちがおり、
抹殺以降の地表へ戻ったことで強い波動干渉を受け、姿を変えた。
自らを紛うことなき“人類”として主張・認識するが、
外見は二足歩行する有翼の怪物そのものである。
旧暦時代の高い知性をそのままに、波動に適応した体を持つが、
数百年の間に認識が変わり、目的の一つであった「文明の再構築」を捨て、
そのスタイルを波動研究に変えたことで、“民族”として僅かが存続している。
彼らを指した歴史と思しき事柄は、地方の口伝などに散見する程度であり、
その多くに矛盾点があるため、殆どは時の流れと共に失われたが、
過去には彼らが高度な文明を有したことや、最終的に絶滅することなど、
いくつかの点において共通しているのは興味深い。
|
経文
(きょうもん) |
波動干渉の制御書式。
水路のように波動を停止・歪曲・増幅・減衰させ、
それによってもたらされる多様な力が、波動効果となる。
文章に似た模様で記されることから経文と呼ばれる。
波動を帯びた紙や物に刻み込むことで機能し、
これが複雑化することにより、複数の波動効果を持つ。
書式は地方によって異なり、効果にも若干の差がある。
これらを作成する職人を「改紋師(かいもんし)」と呼ぶ。
|
浄化域
・
浄化帯 |
強い波動を放つ土地そのものを指す。
元来、波動は生命活動や自然現象によって細かい対流があり、
それらが大きな「うねり」に発展することで様々な影響をもたらすが、
浄化帯には、その干渉・影響を一定に整える作用がある。
その最たる例としては、大陸を南北に分断した水脈跡であり、
今ひとつに、純度の高い鉱石が得られる蒼角山が挙げられるが、
これと似た霊山は北大陸にも存在している。
冬期のクノサスト、フェイチェの海岸で、遠く臨むことができると云う。
|
絶縁子
(ぜつえんし) |
波動干渉を著しく減衰させる、特殊な鉱物から作られた金属片。
数十〜数百層からなり、主に強力な波動を扱う施設の建材や、
波動から身を守る防護鎧などに使用される。
負荷を圧縮することで膨張し、層が完全に剥離すると効果を失う。
獣の中には、自ら強烈な波動を放つ個体も多く存在するため、
減衰作用の高いのものは、退獣士が用いる「噛み金(かみがね)」と呼び、
噛むことで、波動干渉による激痛を緩和する効果がある。
波動が骨や爪などに逃げやすい性質を利用したものである。
退獣士の必需品とされ、今なお改良が施され続けている。
|
人間 |
旧人類の絶滅後に繁栄した、すなわち現行人類。
水脈崩壊という過去に例のない大災害を乗り切り、
大陸が南北に分断された現在も、その大部分が生存している。
波動耐性・感知能力があり、寿命は150年前後の記録がある。
水脈崩壊以前に関する情報の多くは失われており、
残っている記録は、ほぼ崩壊後のものと云って良い。
現在は波動塔の恩恵によって生活の拠点を獲得したが、
復興後の年月も浅く、未だ獣の災害におびやかされている。
彼らの祖先に関する記録は、ある時代から失われているため、
これ以前に繁栄した人間を指して旧人類とする。
|
波動
(エーテル) |
自然界に存在する全ての物体に帯びる力。
一般にはこれを「自然波動」と呼び、
これを人工的に作用させる技術が「霊術」である。
海水に膨大な波動を帯びた大水脈が崩壊して以降、
大陸への干渉度が低下したため、人々は霊術を奪われてしまったが、
その代替案として、水脈付近の波動を帯びた岩石を「波動石」とし、
そこから様々な物質に付与させる技術が発展した。
強い波動は人体に異常・変調をもたらすが、
微量であれば代謝の促進や、その他の医療行為にも発展させられる。
なお色素が欠落した人間は、強度の波動干渉にも耐えられる。
新暦以降、地表は旧人類に異常をおよぼす程の波動が覆ったため、
旧人類はこれに適応した結果、人ならぬ姿へ変貌することとなる。
|
波動石 |
波動の帯びた鉱物を人工的に結晶化させ、
その波動作用を様々な用途に発展させたもの。
大きさは人間の頭部ほどであるが、作成には数ヶ月かかる。
とくに巨大なものは人々の生活拠点に据えられ、獣を退ける効果を有する。
結晶表面には夥しい経文が刻まれており、
これらの書式が異なることで、作用も枝分かれして行く。
現在の人類が存続する上で、もはや不可欠な物質であると云える。
「蒼角山」は純度の高い鉱石が得られる霊山として有名であるが、
年々干渉度が高まり、人工的な純度の引き上げが可能となったこともあり、
現在では危険を冒してまで採掘する習慣はなくなりつつある。
|
波動塔
・
波動門 |
上記の波動石を特別な部屋に100個前後で鎮座し、
その驚異的な干渉力により、都市から獣を退ける機能を持つ。
配列の変更により、干渉度や放射角度などが微調整することができ、
害獣の活動期や、単独飛来などの非常事態に対応している。
一般的に、小規模な集落などでは中心に波動塔を据えるが、
都市では四方に巨大な門を据え、中心との双方向で守護する。
干渉度は放射地点から遠ざかるほどに減衰されるため、
年々、地方でも波動塔を増設する傾向にある。
配列の変更には、強烈な波動に耐えうる鎧が必要となる。
作業時間も短時間に限られるため、過去には事故も絶えなかった。
|
フェイ |
後述の、「回る命の柱」が地上に遣わせたとされる伝説上の存在。
「回る命の柱」よりも知られた名称であるが、地方の言語にも属さない。
その姿は人間と変わらず、人語を解し高い知能を持つとされ、
食事や睡眠も必要とせず、日没前に姿を消すと云う。
また、怪物のような姿に変化できるともされるため、
旧人類と混同されたか、あるいは「フェイそのものが旧人類」など、
様々な説が唱えられるものの、実像は定かではない。
成体が自在変身する生物は確認されていないため、
現在では存在そのものから疑問視されている。
|
回る命の柱 |
地方の伝説や口伝に登場する、
旧人類を全滅させたとされる正体不明の存在。
旧人類は彼らの謎を解き明かそうとしたが叶わず、
結果として抹殺され、それ以降の歴史も失われたと云う。
旧人類の抹殺遂行後、様々な生物を生み出し、
獣が跋扈する世界に変えた後、地上に数人の配下を遣わせ、
自らは残りの配下を回収し姿を消し、その消息も不明となっている。
旧人類を抹殺する一方で、なぜ新たな人類は存続しているのか、
両者の扱いが異なる点も謎の一つであるが、
フェイと同様に存在が疑問視されている。
|
|
|