-Lust-

人間の素行には幾つも不可解なものを憶える。
そのひとつに『禁欲の誓い立て』だ…全く下らんな。
快楽に抗えぬ豚共が、『神の子』を名乗るなど片腹痛い。

見るがいい。
子々孫々の端々に継がれる堕落した魂を。
安寧に飼い慣らされ、富と物欲にたぶらかされた痴れ者ども。
愚かの血筋が脈々と受け継がれているではないか。

その歪んだ高潔さ、
それが天へと続く神の門をくぐる手形か。

我が名は 魔王アスモダイ。

夢を見せてやろう。
この世では到底味わえぬ、至上の快楽を。

その気高き魂とやらが如何ほどのものか、
見事この場で証し立ててみるがよい!

アスモダイ
Asmoday
the Vulgar Eyes
アスモダイ / アスモデ / アスモデウス / アスモダイオス

<<マンモン/リヴァイアサン>>

■2001-09/30作品
■[1600*1200]
■[1024*768]
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■[線画]

好色、邪淫、色欲。
七つの大罪の内、“肉欲”を司るのが魔王アスモダイです。
「復讐公子」、「剣の王」、「地獄の王」などの異称を冠します。

牛と羊の頭部を双肩に剣と三角旗を携え、巨大な ドラゴンにまたがり、
その姿は肥え太った不潔な男として描かれることもあります。

彼については旧約聖書外典のトビト書に記されました。
ここでは、アスモダイが特定の娘に取り憑いて祟り、
娘の夫となる男を、次々に殺して行く様が読み取れます。
眼に留まった女性を手放さず、性愛において節操がありません。

また、ペルシアの悪魔「アエシュマ(アエスマ)」からは、
「アエシュマ・デーヴァ」が肉欲の悪魔として派生しているため、
アスモダイの語源と原罪の割り当ては、アエシュマに由来するともされます。

ザッハークの項でも触れた「アンリ・マンユ」の部下であり、
酒に溺れる者を暴力に導き、悪意ある魔術師を使って戦を引き起こし、
幸福を運ぶ死者の魂や、家畜を滅ぼすとされます。

一度は彼を封じたソロモン王の神殿にも、アスモダイが関わっており、
神殿建造の際は、石材を加工する為に「奇跡の昆虫」を用いたそうですが、
ソロモンを欺き、辛くも封を逃れたことで自由の身となってしまいました


そんな彼の弱点は、魚の腸(はらわた)。
今ひとつは、トビト書にも登場する「天使ラファエル」です。

書物や時代によって、彼の存在価値は大きく異なるようですが、
様々な能力を有し、強大な魔王であった事に違いはありません。



SHRINEの人丸氏に進呈した作品です。
 ドラゴンの外皮は、鳥の足がヒントになりました。

■聴いていた音楽
・David Bowie「OUTSIDE」……The Hearts Filthy Lesson
・「カル」サントラ……tell me why

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