-Gluttony-

人は何ゆえ死を恐れる?
死は美しい。

見よ、凄まじい腐臭を放って横たわり、
無数の這い蟲をたからせた屍の山を。

見よ、神の教えに背いて不善を成し、
黄銅色に染まれる下賎な骨の床を。

何故お前たちは気付かなかった?

我が名は魔王ベルゼブブ。

滅びよ。
この生きるに価せぬ卑しき畜生めら。
腐れる肉を削ぎ落とさねば、世は永遠の罪に満ちる。

滅びは美しい。

まこと醜き者は、飢えを満たすに足るより食い続け、
美食と酒に胡座をかいた人間ではないか!

ベルゼブブ
Beelzebub
the Lord of  Crawling Insects
ベルゼブブ / ベールゼブブ / ベルゼバブ / ベールゼバブ / ベルゼブル / ベルゼーブブ
<<ベルフェゴル/ルシファー>>

■2001-10/28作品
■[1600*1200]
■[1024*768]
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■[ボツ線画]

暴食、飽食、貪食。
七つの大罪の内、「大食」を司るのが地獄の君主ベルゼブブです。
その名の起源をヘブライ語の「バアル(主・王)・ゼブル(家・館)」とし、
これは「大きな館の主」となります。

しかしこの名がソロモン王を連想させるとして侮蔑の対象となり、
キリスト教に伝わると、「バアル(王)・ゼブブ(蝿)」となりました。
それ以降、彼は「蝿の王」の名で語り継がれることになったとされます。

元来はカナアン人が崇拝した「蝿を殺す神」です。
農作物を蝿による被害から護るのが彼の役目でした。
王たる者に相応しい威厳を持ち、たくましい男の姿でした。(J・ミルトン 失楽園:第二巻)

しかし呼び名を「蝿の王」とされてから、蝿そのものとして解釈される内に、
汚物や死の象徴となり、伝承でも巨大な 蝿の姿で記されるようになりました。
悪魔の中では、醜悪さの全てを引き受けたような存在です。

マルコによる福音書などによれば、キリストが魔王を使役し、
悪魔払いを成したとして中傷される記述が有ります。
(マルコによる福音書:第三章 20〜22節)

一連の七つの大罪はビンスフェルドによる分類ですが、
「ベルゼブブ」とされる以前から「大食」の魔王であったかどうかは、
彼が堕天した時期によるとも考えられるでしょうか。

彼はサタンと供に堕天した天使の一人です。
ほかに「追放された偉大なる王」、「魂を支配する者」とも呼ばれ、
ルシファー」、「サタン」に並ぶ高位の魔王とされますが、
人間の力では、制御はおろか召喚自体が不可能なほど強大です。
彼がしばしばサタンと同視されるのもこのためでしょうが、
堕天する前は、セラフ(熾天使)か、ケルビム(智天使)だったとされます。

彼は失楽園・第一巻においてサタンと会話を交わし、
堕天したベルゼブブの醜態を嘆くサタンと身分を確かめ合うと、
声高らかに、再び 堕天使の軍勢をもって叛逆する意志を固めています。

なお、アスタロトはベルゼブブの側近であるとされます。
アスタロトも強烈な悪臭を放つ悪魔であるとされるため、
蝿の王とは、縁の深い悪魔なのかも知れません。

現在では、羽根に頭蓋骨と交差した骨の印を持つ、
驚異的に大きな蝿の姿が、彼の一般的な造形として知られており、
多くの書物に登場するこの姿には、二対(四枚)の羽根と、毒針を持ちます。
しかし蝿の羽は 一対(二枚)で、一般的に蝿は毒針を持たないので、
描いた絵師の知識不足により、正確な造形とは云えません。

人間の自尊心(高慢さ)に訴えて大食の罪に導きますが、
彼が大食の位置付けを成された理由は不明のままです。


線画については、一枚目がダサいと云うことで中途放棄しました。
オリジナルは羽根の先まで描かれています。
鹿人氏に進呈した作品です。

■聴いていた音楽
・hide…zilch
・Marilyn Manson…mechanical animals
・女神転生I・IIサントラ・召喚盤…Fall'n Gods〜魔王
・「8mm」サントラ…Missing Persons

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